第 4 章
インターネットまたはイントラネットのネットワーク作業
インターネットは、"ネットワークのネットワーク" です。イントラネットは、インターネットより規模が小さく、インターネットに含まれるネットワークで、企業内などに見られます。
この章では、次の項目について説明します。
- ルーターおよびセキュリティ デバイス
- 典型的なネットワーク設定
- イントラネット上でパブリッシュする際の問題
- ネットワーク ユーザー用インターネット エクスプローラ
- SNMP (Simple Network Management Protocol) の監視機能の利用
ここでは、特に複数の Web サーバーを持つようなほとんどの Web サイトで必要となる、TCP/IP (Transmission Control Protocol/Internet Protocol) ネットワーキングの基本要素について説明します。インターネットまたはイントラネットでのパブリッシュに関する問題については、後述の該当する節を参照してください。
TCP/IP は、パケットと呼ばれる個々の情報の集まりがそれぞれ特定の転送先アドレスを持っている、"宛先指定可能プロトコル" です。2 つのネットワークは専用のルーターによって接続され、それらの間でパケットが転送されます。ルーターは一方のネットワーク上の各パケットの転送先をチェックし、転送先が別のネットワーク上のルーターであれば、そのパケットの行き先をそこに指定します。
ルーターでは、ネットワーク間で特定のパケットだけしか転送できないように設定することができます。これを、パケットのフィルタリングと呼びます。パケットのフィルタリングを使えば、外部のユーザーが内部のコンピュータやリソースを参照したり、それらに接続したりするのを防ぐことができます。
TCP/IP ネットワークが設置されていれば、通常はネットワーク内に既にルーターが設置されています。また、インターネット サービス プロバイダ (ISP) が、インターネットと Web サーバーとの間にルーターをインストールしていることもあり、この場合には、そのルーターを使って、送受信されるパケットのフィルタリングができます。ルーターまたは同等のセキュリティ デバイスの設定の詳細については、ISP やルーターのマニュアルを参照してください。
ここでは、イントラネット サイトの典型的なネットワーク構成について説明します。
自分のイントラネットにだけパブリッシュする場合は、Peer Web Services を任意の TCP/IP ネットワークに統合することができます。ネットワーク上で DHCP (動的ホスト構成プロトコル) と WINS (Windows インターネット ネーム サービス) が有効であれば、クライアントは Web サーバーのコンピュータ名を使ってサーバーに接続できます。また、ネットワーク上で DNS (ドメイン ネーム システム) が有効であれば、ホスト名を使用できます。
サイトで Peer Web Services が動作しているコンピュータが 1 台しかない場合は、ルーターの設定や、Web サーバーが使用するデフォルト ゲートウェイの IP アドレスの指定などの具体的な作業を、インターネット サービス プロバイダ (ISP) に依頼することができます。
ネットワーク上で Peer Web Services が動作しているコンピュータが複数存在する場合には、インターネット接続設定を経由して正しく運用されるように、それらのコンピュータの TCP/IP の設定を行う必要があります。設定が必要なルーターには、サーバーとデフォルト ゲートウェイ間で使用されるすべてのルーターが含まれます。
通常、複数のコンピュータで Peer Web Services が動作しているサイトでは、さらにルーターを追加します。別のルーターを追加する方法以外にも、サーバーを 1 つのグループにまとめて単一のサブネットとし、サイト上のネットワークから隔離する方法もあります。
サブネットを作成するために必要なもの
- 2 つのネットワーク アダプタ カードを持ち、Windows NT TCP/IP ルーティングが可能な 1 台のコンピュータ。または、サブネット専用のルーター。
Windows NT が動作しているコンピュータに簡易ルーターを作成する手順、および、route コマンドを使ってルーティング テーブルを設定する手順の詳細については、Windows NT のヘルプを参照してください。
- サブネット内で有効な各ネットワーク アダプタ カードの IP アドレスと、正しい "サブネット マスク"。
- デフォルト ゲートウェイの正しい IP アドレスの設定。
IP アドレス、(必要があれば) サブネット マスク、デフォルト ゲートウェイの設定は、ISP から提供されます。
Windows NT ベースのコンピュータ上にインターネット サービス マネージャをインストールし、ネットワーク上の Internet Information Server や Peer Web Services が動作しているコンピュータを管理することができます。ネットワーク経由のインストールの場合は、ファイル マネージャまたは Windows NT エクスプローラを使ってコンパクト ディスク上の Admin フォルダを含むネットワーク共有を設定してください。この後、インターネット サービス マネージャをインストールし、Windows NT Workstation または Windows NT Server の Version 4.0 以降が動作しているネットワーク上の任意のコンピュータからサービスを管理することができます。また、Web ブラウザを使って、ネットワーク経由で Internet サーバーを管理することもできます。詳細については、「第 3 章 Peer Web Services の設定と管理」を参照してください。
Microsoft Peer Web Services は、任意の私的な TCP/IP ネットワークのユーザーにファイルやアプリケーションを提供する目的にも利用できます。ここでは、イントラネット上でのパブリッシュの計画の仕方について説明します。次の項目について説明します。
- 名前解決システム
- DHCP の使用
- コンピュータ名を URL 中で使用する方法
- SNMPの監視 (サイトで SNMP が使われている場合)
イントラネットのクライアントが、Web サーバーを参照するときに、インターネット エクスプローラでわかりやすい名前を使えるようにするには、クライアントに名前解決システムを提供する必要があります。
Windows NT Workstation では、DHCP サーバーによる IP アドレス自動構成機能と、WINS サーバーが提供する名前解決のための WINS サーバー メソッドが提供されています。
WINS サーバーは、Microsoft TCP/IP と WINS サーバー ソフトウェアが動作している Windows NT Server ベースのコンピュータです。WINS サーバーは、TCP/IP アドレスを Windows ネットワーク NetBIOS コンピュータ名にマップするデータベースを管理しています。
Microsoft Peer Web Services は、WINS サーバー ソフトウェアを使用して TCP/IP アドレスをネットワーク上のコンピュータ名にマップします。WINS では Microsoft ネットワーク コンピュータ名が使用されます。Microsoft ネットワーク コンピュータ名は、DNS よりも柔軟な名前解決を実現します。また、WINS では、ネットワーク間において、IP ブロードキャストのトラフィックを大幅に減少しつつ、クライアント コンピュータがローカル エリア ネットワークやワイド エリア ネットワークを経由してリモート システムの位置を容易に特定できるようにしています。インターネット上で WINS サーバーを使用する場合は、必ず正規に割り当てられたIP アドレスをコンピュータで使用してください。
LMHOSTS ファイルは、Windows コンピュータ名から IP アドレスを参照するためのテキスト ファイルです。小規模なネットワークや構成変更をあまり行わないネットワークであれば、ネットワーク上の各コンピュータに LMHOSTS ファイルを配布することができます。これらの LMHOSTS ファイルはホストの変更のたびに手作業で変更する必要があります。
イントラネット上の DNS サーバーを管理し、インターネット TCP/IP ドメイン名を使用することができます。DNS サーバーは、ネットワーク上の Windows NT Server ベースのコンピュータにインストールしてください。
HOSTS ファイルは、DNS ドメイン名から IP アドレスを参照するためのテキスト ファイルです。小規模なネットワークや構成変更をあまり行わないネットワークであれば、各コンピュータに HOSTS ファイルを配布することができます。これらの HOSTS ファイルはホストの変更のたびに手作業で変更する必要があります。
DHCP サーバーによる IP アドレス自動構成機構を利用できます。
DHCP サーバーは、Microsoft TCP/IP および DHCP サーバー ソフトウェアが動作している、Windows NT Server ベースのコンピュータです。
DHCP サーバーを使用する場合は、必ず WINS サーバーを使用して、クライアントが、ワイド エリア ネットワーク (WAN) 環境で、IP アドレスの自動名前解決の機構を利用できるようにしてください。DHCP は、RFC (Requests for Comments) 1533、1534、 1541 および 1542 に定義されています。DHCP サーバーの詳細については、Windows NT Workstation の Tcpip.hlp を参照してください。
また、Windows NT Server のマニュアルも参照してください。
イントラネット上でサーバーに接続したり HTML のファイルやリンクを作成したりするときは、そのネットワークで実装されている名前解決システムに沿った名前をコンピュータに付ける必要があります。たとえば、ネットワーク上で WINS サーバーを使用している場合は、リンクには http://sales1/homepage.htm というような Windows のコンピュータ名を使います。ここで、sales1 は Peer Web Services が動作しているコンピュータの名前に当たります。
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